炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)でイボ治療

1、炭酸ガスレーザーとは

炭酸ガスレーザーによるイボ治療

炭酸ガスレーザーとは、Co2レーザーと呼ばれる機械のことです。

イボ、老人性のイボ、ホクロなどの除去に炭酸ガスレーザーでの治療が有効です。

「メスのように切ったり、削ったりできるレーザー」とイメージしていただければ良いです。

炭酸ガスレーザーの治療は、皮膚を深く傷つけてしまう可能性や、イボの周りの正常な皮膚にはダメージを与えないため普通のメスで切除した場合よりも傷跡が残りにくく、治りも比較的早いことが特徴です。

治療の際は、局所麻酔や麻酔クリームを使用し治療時の痛みを抑えることも可能です。

また、炭酸ガスレーザーは「ニキビ治療」「ニキビ跡改善」の治療で使用されることも多いです。

ニキビ跡が気になる部位や、ニキビにレーザーを照射していくことで、肌の凹凸が滑らかになり新しいニキビができるのを予防することにもなります。

2、炭酸ガスレーザーで治療できる部位

当院で基本的に治療可能な部位は、下記のようになっています。

【治療可能部位】
・顔
・首(2mm以上)
・デコルテ
・腹部
・胸部

など。

※臀部・デリケートゾーンは、当院では医師の判断で治療をお断りする場合がございます。ご了承ください。

3、炭酸ガスレーザーの効果と種類

炭酸ガスレーザーの効果

炭酸ガスレーザーを使うと「切る・削る」という治療が可能です。

通常の炭酸ガスレーザーと比較して、フラクショナルタイプ(ベタ塗り)治療ができるとより「安全に、傷になりにくく、綺麗に」治療がおこなえます。

【炭酸ガスレーザーの種類】

 

炭酸ガス(CO2)レーザーの種類 通常のCO2レーザー フラクショナル(ベタ塗り) フラクショナル(点々)
治療の特徴 深い 浅く薄く均一に ベタ塗りを更に点々で
例えるなら キリで深く穴を開ける かんなで薄く削る スプレー状に薄く削る
治療できる大きさ 1cmほど 顔全体が可能 顔全体が可能
治療後のケア 軟膏やテープを1~2週間ほど貼る 軟膏やテープを1~2週間ほど貼る 塗り薬を数日程度
治療部位のメイク ×

1~2週間

×

1~2週間

翌日からOK

治療できる症状

効果

ホクロ イボ

深いニキビ跡

脂腺腫

毛穴改善

毛穴の引き締め

ニキビ跡

治りにくいニキビ

小ジワ

リストカット跡

目元のたるみ

傷跡

テカリ(皮脂が多い)

肌のハリを出す

 

4、ニキビ・ニキビ跡の改善

フラクショナルタイプの炭酸ガスレーザーは、ニキビ治療やニキビ跡改善の治療に使用されることも多いです。

今あるニキビに対しての攻撃

「今あるニキビに対して熱を加えて攻撃をしていきましょう」という治療方法になります。

活発性のニキビに熱を加えると良い点は、熱の影響で皮脂腺から皮脂が出る量を減らすことができることです。

皮脂は、ニキビができる元となるアクネ菌の栄養となるもの。アクネ菌は皮脂が多いところで増殖します。

レーザー照射により熱を加えることで皮脂を減らせて、アクネ菌に栄養がいかなくすることにより、アクネ菌の増殖を防ぎます。

また、レーザー照射により深いところまで熱を伝えることができるので、熱の影響で毛穴が詰まってニキビができているところのアクネ菌自体も殺菌することが可能です。

ニキビ跡に対しての攻撃

炭酸ガスレーザーを照射することで、皮膚表面を少しずつ削ることが可能です。

そのためニキビ跡による肌の凹凸を滑らかにし、怪我により残ってしまった傷跡の改善にも期待ができます。ダウンタイムが長くなる傾向にあるため部分的に何回かに分けて治療する必要があります。

炭酸ガスレーザーとシミ・そばかすの治療

炭酸ガスレーザーは、ホクロやイボなどの凹凸のあるものの治療に使用をしていくものです。

シミやそばかすなどの凹凸の無い症状の治療には、炭酸ガスレーザーを使用せず、シミレーザーやフォトフェイシャルなどの機械を使用することが多いです。

炭酸ガスレーザーの治療症例

炭酸ガスレーザーの経過症例写真

治療前 → 治療部位に麻酔注射または麻酔クリームを使用し痛み軽減のため麻酔を効かせていきます。

治療後 → レーザー照射後は担当スタッフが治療部位に軟膏を塗布し、茶色のテープを貼ります。

治療後1週間 → 治療をしてから1週間は自宅で毎日処置をしていただきます。(軟膏の塗布と茶色のテープの張り替え)

5-2、炭酸ガスレーザー治療経過

炭酸ガスレーザー治療経過

炭酸ガスレーザーの治療中は、写真のように治療部位がレーザーによって焼かれかさぶたのようになります。

そしてレーザー照射後に、このかさぶたを綺麗に拭きとっていきます。

その写真が治療直後の写真です。

「治療当日夜からの経過とダウンタイムについて」①治療直後は、そこまで赤みは強く現れませんが、治療当日の夜あたりから次第に治療部位の赤みが強くなります。そこから数日間は強い赤みがある状態だと思ってください。
※治療から1週間は自宅では軟膏の塗布、茶色のテープの張り替えを毎日おこなってください。②治療から1週間〜2週間ほど経過すると治療部位の赤みが軽減してきます。③赤みが完全に消えるまでにかかる期間は、基本的には2,3ヵ月ほどかかります。
※患者様の体質や肌質により、赤みが消えるまでに更に時間がかかる方もいらっしゃいます。

④また経過として一時的に色素沈着を起こす方もいらっしゃいます。色素沈着を起こした場合は美白剤の使用をおすすめしております。

⑤傷跡のリスクに関してですが、治療部位として顔のイボを炭酸ガスレーザーで治療をした場合傷跡が残ってしまう可能性は、低いものになります。
しかし、胸や腹部などの鎖骨より下を炭酸ガスレーザーで治療した場合は、傷跡が残る可能性が高くなります。リスクをご理解いただいた上での治療となりますことをご理解ください。

5-3、治療可能なイボ

当院で炭酸ガスレーザーを使用して治療が可能なイボの種類は

・軟性線維腫
・脂漏性角化症
・脂腺腫など

※ウイルス性のイボは当院では炭酸ガスレーザーで治療できません。

脂漏性角化症とは

脂漏性角化症は、加齢や体質が原因でできる良性のイボです。

ウイルスが原因としてできているものではないため、人にうつることはありません。

若い方ですと30代から出始め、出現率として高い年代は40代以降になります。

脂漏性角化症が出やすい部位は、顔や頭部、胸部などの日光露出部位になります。

しかし、人によっては脇の下、腹部、鼠蹊部、陰部、太ももなど日に当たらない部分にも発生する場合もあります(手の平、足の裏にはできません)。

色は褐色調から黒色で、大きさは直径数mmのものから2〜3cmくらいでやや盛り上がりがあり、平坦に見えるものでも医療用の拡大鏡で見るとわずかに盛り上がっているのが特徴です。

痒みや痛みは通常はありませんが、患者さんによっては「たまに痒みがある」と訴える方もいらっしゃいます。特に脂漏性角化症が大きく成長する時に痒みが生じることが多いです。

また脂漏性角化症は、自然に消えることはありませんし、悪性化して癌になることもありません。

しかし、まれに脂漏性角化症が全身に短期間で多数出現し痒みを伴う場合は注意が必要で、内臓に悪性腫瘍がある可能性があります。

短期間で多数発生した場合は一度クリニックへの受診をしていただくことをオススメします。

脂漏性角化症脂漏性角化症

尋常性疣贅
尋常性疣贅とは、ウイルス性のイボのことを指します。

皮膚から盛り上がっている小さなできもの一般を俗に「イボ」と呼んでいます。そのためイボと言っても多種類の異なる皮膚疾患が含まれています。ウイルスが感染してできるイボ(ウイルス性疣贅)が最も一般的です。

ウイルス性のイボができる原因は、「ヒトパピローマウイルス」というウイルスで皮膚の小さな傷から感染しイボをつくります。

魚の目やタコに似た小さなできものができますが、自覚症状はほとんどありません。自分で削ったり切ったりせずに、医療機関を受診し液体窒素などで治療を受けることをオススメします。

ウイルス性のイボ
ウイルス性のイボは、皮膚にできた小さな傷口からウイルスが入り込み、ウイルスに感染することでできるイボのことです。

でき始めは小さく平らなイボができることが多いですが、時間が経つにつれて皮膚の細胞がどんどん増殖し、盛り上がりも大きくなっていきます。

ウイルスが体内に入ってきたときは、体から取り除こうとする免疫反応が体の中で起こりますが、ウイルス性のイボとして体に現れてしまった場合は、体内に侵入したウイルスが体の免疫反応に勝ってしまいウイルスに感染をしたことになります。

ウイルス性のイボができたときは、通常「痒み」や「痛み」などの症状はありませんが、足の指や足の裏にできて大きく盛り上がってしまったイボの場合には、押すと痛い場合があります。お子さんの足に「たこ」や「うおのめ」に似たものができたと思われた場合は、ウイルス性のイボの可能性がかなり高いです。

ウイルスが原因でできているため、イボに触ると触った場所にウイルスが新しく感染してしまい、新しくイボができてしまう場合があります。

顔には、扁平疣贅という別の種類のウイルス性のイボができることがあります。

ウイルス性イボ

6、シミだと思っていたらイボだった

シミイボ

患者様で「シミを取りたい」とお話して下さる症状をよく見ると「イボ」だったという症例が40%くらいの確率であります。

シミではなくイボであった場合、シミレーザーで治療をしても効果なし、美白のクリームを塗っても全く効果はありません。

治療方法としては炭酸ガスレーザー(スキャニング設定が可能なフラクショナルタイプ)が必要になります。

フラクショナルタイプの炭酸ガスレーザーで治療をした場合、イボだけを薄く削りとることができます。

7、炭酸ガスレーザーの料金

 

直径2mm未満 3個¥5,500
直径5mm未満 ¥5,500
直径10mm未満 ¥11,000
直径15mm未満 ¥16,500
直径20mm未満 ¥22,000

※20mm以上の場合は1mm×1,100円の計算になります。

8、炭酸ガスレーザー治療までの流れ

炭酸ガスレーザーでの治療は「切る・削る」というタイプになりますので、治療に痛みが伴います。

当院では、治療個数やご希望に合わせて2種類の麻酔方法を準備しております。

治療までの流れ

1.クリニックにご来院
2.受付にて患者様の身分確認をさせていただきます。(初診の方は本人確認が出来るもののご提示をお願いしております。)
3.問診票の記入
4.スタッフによるカウンセリング
治療希望部位の確認や治療方法の説明、治療後のダウンタイムやリスクについて詳しく説明します。
※顔イボを炭酸ガスレーザーで治療する方は説明後に洗顔をし、顔写真を撮影させていただきます
5.ドクターの診察があります。再度治療についての説明などがあります。
6.診察後に治療に伴っての同意書に説明に入ります。同意頂けたら同意書に記入に移ります。
7.次に麻酔に入ります。
・治療の数が5個以下で注射の痛みが我慢できる方は麻酔注射を使い麻酔を効かせていきます。
※麻酔注射の場合は麻酔時に注射の痛みはありますが麻酔の効きが早いことと、治療時の痛みがほとんどありません。
・治療の個数が多い方や注射の痛みが苦手な方は麻酔クリームを使用し麻酔を効かせていきます。
※麻酔クリームの場合は麻酔時の痛みはありませんが、麻酔が効くまでに20分〜30分かかります。また治療時に多少の痛みが伴うことが考えられます。
※治療の数が多くても1個1個の大きさが大きい場合は麻酔クリームではなく麻酔注射をおすすめします。
8.麻酔後、レーザー治療に入ります。
※治療の個数により治療にかかる時間は変わってきます。
9.スタッフが治療部位の処置をします。
(軟膏処置+テープ貼付)
10.患者様に家での処置の方法や注意点を説明し、処方する物品をお渡しする。
11.受付にて待機
12.お会計
※2週間後の経過観察の予約もお会計時にとることが可能です。
13.帰院

9、炭酸ガスレーザー治療でよくある質問

Q:炭酸ガスレーザーの治療での注意点はありますか?

A:治療後から1週間はクリニックから処方された軟膏とテープの貼付をしっかりとおこなってください。また洗顔時には強く刺激を与えないようにぬるま湯で優しく洗顔をすることをおすすめします。治療部位は摩擦や紫外線などの刺激を受けると赤みが続く期間が長くなることや、炎症後色素沈着になる可能性が高まること、傷跡に残るリスクも高くなります。マスクによる刺激の予防や、日焼け止めを塗るなどの紫外線予防をしっかりとおこなうようにしてください。

Q:炭酸ガスレーザーで、イボを除去した後に傷に残ることはありますか?

A:炭酸ガスレーザーによるイボ治療は皮膚を削りとっていく治療のため、傷跡のリスクは伴います。特に鎖骨から下の部位の治療は顔や首の治療と比較して傷に残りやすい傾向にあります。傷跡のリスクを十分にご理解頂いた上での治療となります。「首イボをなるべく傷跡なく治療したい方は首イボ治療まで」

Q:炭酸ガスレーザーの治療時間はどのくらいかかりますか?

A:大きさにもよりますが、イボの治療1ヵ所につき数分かかります。治療前の局所麻酔の注射をしますがその時間も1分程度はかかります。

Q:炭酸ガスレーザー治療のダウンタイムはどれくらいですか?

A:治療後は1週間はクリニック処方の軟膏を塗り、テープを貼付していただくためメイクもテープの上からしていただきます。治療後の赤みに関しては完全に消えるまでは2ヵ月から3ヵ月程度かかります。徐々に薄くなっていきますので、コンシーラーなどで赤みはだいぶ抑えられるかと思います。しかし、赤みの続く期間は個人差があり、まれに3ヵ月以上残る方もいらっしゃいますのでご了承ください。また患者様の中には、治療後に色素沈着を起こす方もいらっしゃいます。色素沈着が起きた場合は美白剤の使用をおすすめしています。

Q:炭酸ガスレーザーは痛いですか?

A:炭酸ガスレーザーは、皮膚を削りとっていく治療になりますので麻酔をしていない状態で治療をした場合は強い痛みが伴います。当院では、局所麻酔の注射と麻酔クリームの2種類をご用意していますので、イボの大きさや個数に合わせてお選び頂けます。

Q:炭酸ガスレーザーの治療は保険適応になるのか

A:当院では、保険適応外となります。

10、炭酸ガスレーザー治療によるイボ治療においてのリスクとは

炭酸ガスレーザー治療においてのリスクに関してですが、1番大きなリスクとしては「傷に残る可能性がゼロではない」ということです。

基本的鎖骨よりも上に治療の場合は、治療部位の傷跡が残る可能性は低くあります。しかし鎖骨下のデコルテや胸、腹部などの治療の場合は摩擦を防ぐのが難しいことや、日常生活で体を動かしてしまい治療部位の治りが遅いことなどから傷跡に残るリスクは高くなります。

患者様にはリスクを十分にご理解して頂いた上で治療を受けていただきます。